記憶の瓦礫の中から零れ落ちた旋律。
それは、知らないところで繋がって。
Precious Junk
「―― いつもこのままじゃ 夢さえも逃げて行く ―― … ♪」
ふと口を突いて出たメロディー。
サビの部分しか思い出せないような、曖昧な記憶のかけら。
「へぇ、アンタも歌うたったりするんだねぇ」
「…まぁな」
歌うのは嫌いじゃない。
ただ、人前で歌うことは滅多にしない。
歌う姿が自分には似合わないことを知っているから。
「… いつか この僕を飛び超えられたなら … ♪」
ぼんやりと視線を彷徨わせながら、掠れた記憶を辿る。
人前で歌うのはあまり好きじゃない。
過去のことなど思い出したくもない。
それでも、何故かこの歌を口ずさんでいた。
「――何か、意外だね」
「…オレが歌うことが、か?」
「んー、それもそうだけど。歌声がキレイなことが、かな」『歌声、綺麗だよな』
「ッ!?」
呼び起こされる声。
想い出と重なる今。
「アタシ、結構好きかも。その歌声」
『オレさぁ、結構好きだな。お前の歌声』
重なる。揺らぐ。
思い出したくもない、声。記憶。
耳鳴りがする。頭が割れるように痛い。
『02』
「――GP-02?どうかしたのかい?」
「あ、あぁ…いや…何でもない」
大きく息を吐いて、天井を仰ぎ見る。
思い出さなくていい。
思い出す必要はない。
オレは今、アイツを殺す為に――ここにいるのだから。
「――必ず、殺してやる」
眼を閉じて小さく呟いた言葉は、闇の中に融けていった。
「―― いつも 愛されることばかり願ってた 愛することを 恐れてた … ♪」
高く低く、軽快なメロディーの歌を微笑みながら口ずさむ青年。
人を厄介ごとに巻き込んでおいて、どうしてコイツはこんなに幸せそうなんだと思わずにはいられない。
「…楽しそうだね?」
「えー?そうっすかー?」
「うん、すっごく」
へへっと、やっぱり楽しそうに笑う。
何だってこう、頭のネジが2・3本飛んだトラブルメイカーに事欠かないのだろう。
これ以上考えると頭が痛くなりそうで、深い溜め息と共に考えるのを止めた。
「この歌ね、02が歌ってたんですよー」
「へー」
「楽しそうに歌ってたから、オレも覚えちゃって。アイツ歌上手いんですよ、アレで意外と」
「ふーん」
「似合わねーっつってからかったら、滅多に歌わなくなっちゃいましたけど」
「………」
彼――GP-01を兄に持つ羽目になった家出青年に、同情を禁じ得ない。
…そりゃあヒネもするだろう、こんなんが実兄なら。
そんなことを考えていることも露知らず、微笑む青年は再び歌い始める。
楽しそうに。幸せそうに。
「―― いつか 大切な人を包み込んだら 翼に変わる筈のガラクタは 僕の胸の中で翔くよ ♪」
01のその笑顔に、少し苦笑が零れる。
何にせよ、01は02のことが大好きで大切なんだろうと思う。
その表現方法が――まぁ、少しアレで――それが大問題なわけだが――とにかく。
(オレは、平和でみんな笑っていられたら、それが一番いいと思うんだけどな)
窓から空を見上げる。
蒼い空は澄み渡り、陽光が優しく降り注いでいた。
いつか、誰も武器をもって争い合うことのない日々がくるといい。
きっと来るそんな日々に思いを馳せる。
金髪の青年の紡ぐ軽やかなBGMは、もうしばらく鳴り止みそうにない。
『風に揺らぐ木々が街を奏でる
今はつぶやく唇に 唄うこと教えたい』
fin
atogaki
0102でレッツ曲SS。最後に書いたフレーズからの連想で歌ネタ。
平井堅の『Precious Junk』です。何となく02っぽく感じたので。
…そうでもないですかそうですか。
01な曲はたくさんあっても俺イメージの02な曲がなかなかない…。
0083組初登場とナタク登場の間。02&ガベテト、01&大御所です。
下手したら×に見えるけどあくまで&。心意気0102だと主張。
…ゼフィサイ…こいつらをくっつけるのは俺には試練だぜ。
すれ違いまくってる具合が萌えるんですとも。ええ。
2007/03/22
それは、知らないところで繋がって。
Precious Junk
「―― いつもこのままじゃ 夢さえも逃げて行く ―― … ♪」
ふと口を突いて出たメロディー。
サビの部分しか思い出せないような、曖昧な記憶のかけら。
「へぇ、アンタも歌うたったりするんだねぇ」
「…まぁな」
歌うのは嫌いじゃない。
ただ、人前で歌うことは滅多にしない。
歌う姿が自分には似合わないことを知っているから。
「… いつか この僕を飛び超えられたなら … ♪」
ぼんやりと視線を彷徨わせながら、掠れた記憶を辿る。
人前で歌うのはあまり好きじゃない。
過去のことなど思い出したくもない。
それでも、何故かこの歌を口ずさんでいた。
「――何か、意外だね」
「…オレが歌うことが、か?」
「んー、それもそうだけど。歌声がキレイなことが、かな」『歌声、綺麗だよな』
「ッ!?」
呼び起こされる声。
想い出と重なる今。
「アタシ、結構好きかも。その歌声」
『オレさぁ、結構好きだな。お前の歌声』
重なる。揺らぐ。
思い出したくもない、声。記憶。
耳鳴りがする。頭が割れるように痛い。
『02』
「――GP-02?どうかしたのかい?」
「あ、あぁ…いや…何でもない」
大きく息を吐いて、天井を仰ぎ見る。
思い出さなくていい。
思い出す必要はない。
オレは今、アイツを殺す為に――ここにいるのだから。
「――必ず、殺してやる」
眼を閉じて小さく呟いた言葉は、闇の中に融けていった。
「―― いつも 愛されることばかり願ってた 愛することを 恐れてた … ♪」
高く低く、軽快なメロディーの歌を微笑みながら口ずさむ青年。
人を厄介ごとに巻き込んでおいて、どうしてコイツはこんなに幸せそうなんだと思わずにはいられない。
「…楽しそうだね?」
「えー?そうっすかー?」
「うん、すっごく」
へへっと、やっぱり楽しそうに笑う。
何だってこう、頭のネジが2・3本飛んだトラブルメイカーに事欠かないのだろう。
これ以上考えると頭が痛くなりそうで、深い溜め息と共に考えるのを止めた。
「この歌ね、02が歌ってたんですよー」
「へー」
「楽しそうに歌ってたから、オレも覚えちゃって。アイツ歌上手いんですよ、アレで意外と」
「ふーん」
「似合わねーっつってからかったら、滅多に歌わなくなっちゃいましたけど」
「………」
彼――GP-01を兄に持つ羽目になった家出青年に、同情を禁じ得ない。
…そりゃあヒネもするだろう、こんなんが実兄なら。
そんなことを考えていることも露知らず、微笑む青年は再び歌い始める。
楽しそうに。幸せそうに。
「―― いつか 大切な人を包み込んだら 翼に変わる筈のガラクタは 僕の胸の中で翔くよ ♪」
01のその笑顔に、少し苦笑が零れる。
何にせよ、01は02のことが大好きで大切なんだろうと思う。
その表現方法が――まぁ、少しアレで――それが大問題なわけだが――とにかく。
(オレは、平和でみんな笑っていられたら、それが一番いいと思うんだけどな)
窓から空を見上げる。
蒼い空は澄み渡り、陽光が優しく降り注いでいた。
いつか、誰も武器をもって争い合うことのない日々がくるといい。
きっと来るそんな日々に思いを馳せる。
金髪の青年の紡ぐ軽やかなBGMは、もうしばらく鳴り止みそうにない。
『風に揺らぐ木々が街を奏でる
今はつぶやく唇に 唄うこと教えたい』
fin
atogaki
0102でレッツ曲SS。最後に書いたフレーズからの連想で歌ネタ。
平井堅の『Precious Junk』です。何となく02っぽく感じたので。
…そうでもないですかそうですか。
01な曲はたくさんあっても俺イメージの02な曲がなかなかない…。
0083組初登場とナタク登場の間。02&ガベテト、01&大御所です。
下手したら×に見えるけどあくまで&。心意気0102だと主張。
…ゼフィサイ…こいつらをくっつけるのは俺には試練だぜ。
すれ違いまくってる具合が萌えるんですとも。ええ。
2007/03/22
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