忍者ブログ
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


2024/11/24 21:32 |
すりーぴんぐ・どらっぐ(FC劇場/スターゲイザー×ノワール)
 
情けないのは分かっているけれど、

…仕方ないじゃないか。















すりーぴんぐ・どらっぐ















「スターゲイザぁー…」
「イラッシャイ、ノワールサン」


ベッドに腰掛けたまま、無表情でスターゲイザーはオレを出迎える。
怒っているとかいうのではなく、元々こういう奴なのだ。
オレが隣に腰を下ろしても何も言わない。…何せ、いつも通りのことだから。


「今日ハドウシタノデスカ?」
「…広間行ったらホラー映画鑑賞会やってた…」
「怖カッタノデスカ?」
「い、いや別に怖かったわけじゃなくてつまりその」
「怖カッタノデスネ」


そう言われると、オレは押し黙るしかないわけで。
スターゲイザーは何でもストレートに言ってしまう。
それどころか体温や心拍数の変化などで心身の状態をズバリと当ててしまうのだからたまらない。
その上、数日一緒にいればクセや行動などを見抜いて記憶し、異常があればすぐにバレてしまう。
…つまりオレの強がりなんてスターゲイザーにとっては無意味も同然。
それでも虚勢を張ってしまうのは、オレの性格の問題だろう。


「…悪かったな、ビビリで」
「私ハ悪イトハ言ッテイマセンガ…?」
「う…」
「…?」


言い返すことも出来ず、そっぽを向いて寝転がる。
行き過ぎた純真無垢は性格が悪いよりもよっぽどタチが悪い。


「寝ルノデスカ?」
「寝る!」
「ジャア電気消シマスネ」


当たり前のように電気を消し、当たり前のように一緒に眠る。
一緒に眠るためにここに来るオレもオレだが、何も疑問に感じないこいつもどうかと思う。

いつからこんな風になったのだろうと記憶を辿る。
…そうだ、いつだったかのホラー映画鑑賞会に巻き込まれた日だ。
ビビりまくっていたオレは、無意識のうちにスターゲイザーにしがみついていて。
そしたら不思議と怖さが薄れて――…。
…寝てた、んだよな。気絶したんじゃなく、普通に。
起きたときにスターゲイザーと引っ付いててびっくりした。
オレがくっ付いたままだったので動けず、スターゲイザーも一緒に眠ったのだろう。
ココのリーダーいわく「兄弟のように微笑ましい」寝姿だったらしい。


「…こんなキョーダイ、嫌だっての」
「ドウカシマシタカ?」
「いや、何でも」


それ以来だ。スターゲイザーの傍にいれば怖くないと気づいたのは。
どうしようもなく落ち着いて、眠くなってしまう。
なぜ安らいでしまうのかは、分からない。
触れた身体は冷たくて、普通なら眠るなんて考えられないだろうに。
それでも眠くなってしまうものは仕方ない。

だからオレは怖くて眠れない時はスターゲイザーのところに行く。
スターゲイザーも嫌がらない――と言うか、嫌がることを知らないだけかもしれない。
…何にせよ、今の自分の情けなさは比類ないと思う。
恐怖に負けて同年代の男と一緒に寝ている、なんて。


「格好悪いな、オレ…」
「無理シナクテモイイデス。苦手ナモノは苦手ナノデスカラ」
「う…お前は苦手なものなんてないだろ」
「ソウデモナイデスヨ? 私ハデータニナイモノガ苦手デスシ」


少しだけ心の奥が苦しくなる。
スターゲイザーはオレたちとは違う。
心を、感情を持たない――根っからの機械。
こいつにとって、感情はデータにないもの。苦手なもの。
だったら――。


「…お前…さ、オレのこと苦手か?」
「…? 何故デスカ?」
「だって、お前は…その、怖い、とかよく分からないんだろう?
 オレがこうやって――い、一緒に寝てて――その理由、理解できないのに。
 …嫌じゃ、ないのか? データにないから、苦手なんだろ? こういうの」
「イイエ」


きっぱりと、かつあっさり言ってのけられる。
基本的にはっきりとモノをいう奴だが、これには少し面食らった。


「私ハ確カニ感情トイウモノヲ上手ク理解デキマセン。
 ケレドモ、不思議ト“感情”ヲ苦手ダトハ感ジナイノデス」
「ふぅん…そうなのか」
「エェ。ソレニ」
「っ!?」


優しく抱きしめられる。
こんなこと、明らかに同年代の同性にやらかす行為ではない。
けれどこいつはそんなこと分かってはいまい。
振りほどこうと頭では考えるものの、身体が言うことを聞かない。


「アナタガ隣デ眠ッテイルトキ、私ノ胸ノ奥ハ暖カクナリマス。
 クリスマスニ代理サンタヲヤッタ時ノヨウニ。
 イエ、ソレ以上ニ強ク確カナ温モリヲ感ジルノデス」
「…え」
「コレガ“感情”トイウモノナノダトシタラ、私ハコレヲ理解シタイ」


こいつは、優しさなんて分からないのに。
それなのに、この腕に優しさを感じてしまうオレは何なんだ?


「アナタト一緒ニイレバ、キット理解デキル。ソンナ気ガスルノデス」


心臓の音が煩い。火照る身体が鬱陶しい。
何気に凄いことを言われた気がする。
こういうことを言われると、正直心臓に悪い。

…スターゲイザーは思ったことを正直に言ってしまう。
だからこの言葉も決して嘘ではない。


「ノワールサンハ、暖カイデスネ」
「…黙れ。オレは寝る」
「ハイ、オヤスミナサイ」





恥ずかしくて逃げ出したくて仕方ない。
それなのに、眠気が容赦なく襲ってくる。

恐怖も羞恥も眠りに沈め、その上常習性抜群。
なんてタチの悪い睡眠薬なのだろう。















冷たい腕にオレの体温が移っていくのを感じながら、オレは眠りに落ちた。




















fin



atogaki
 初星黒SS。副教主(自称)ともあろうものが弾幕薄いよ何やって(ry
 誰こいつらってツッコミはもう今さらなんで自重。
 両想いにはならない、恋愛感情には至らない2人。
 正直ほのぼのがやりたかっただけだったり。

2007/05/01

拍手[0回]

PR

2009/09/26 23:49 | Comments(0) | TrackBack() | SDガンダム フルカラー劇場

トラックバック

トラックバックURL:

コメント

コメントを投稿する






Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 (絵文字)



<<願い、遥か、永久に。(FC劇場/ジャスティス←ブリッツ) | HOME | Precious Junk(FC劇場/GP-01×GP-02)※曲ネタ>>
忍者ブログ[PR]