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2024/05/17 07:20 |
たとえば自分に翼があったとして(ケロロ軍曹/ドロロ×クルル)
 
「…翼…?」










01.たとえば自分に翼があったとして










「そう、翼」

「翼…ねぇ」


たとえば、自分に空を飛べる翼が生えたとしたら?
…非科学的で下らない問い。
大体、ケロンの科学力をもってすれば宙を舞うことなど容易いことだ。
答えないのは簡単だが、後々面倒くさくなるのは望むところではない。
ふぅ、と軽く息を吐いて、視線を虚空へ泳がす。


「俺にそんなモンがあったんなら――」


つばさ。
天使の、あるいは悪魔の。
少なくとも自分に生えるようなものは、純白ではないなと思いながら。


「――逃げ出すね。真っ先に――。アンタから」


垂れ下がる鎖に軽く触れ、口の端を歪めて苦く笑って見せる。
自分の首に繋がったそれがじゃらっと音を立てた。


「そう言うと思ったよ」


優しげな微笑を浮かべながら、蒼い影が近づいてくる。
目と鼻の先で、蒼い髪と蒼の瞳が揺れる。
宇宙的ド近眼の自分にさえはっきりと見える距離にある、綺麗な瞳。
それはあまりにも優しく…だけどその奥に、闇を宿していて。


「でも…逃がさない」


唇同士が触れる。
優しいけれど、キスというには甘くない口付け。
…恋人同士とは程遠い、自分たちの関係。
ただ束縛し、束縛されるだけの。
それなのに、胸中に去来するのは好きという感情。


「…アンタは、どうするんだい?」


きっと彼は純粋なのだ。
まっすぐであるが故に、欲望など感じたこともなかったのだろう。
だからこそ、それが生じたときに抑える術を知らない。
そしてそのこころのままに動く。
それを罪と思うことさえなく、求めるままに。


「僕は…」


しゃりん。
鎖が、鈴の音にも似た金属音を奏でる。
醜悪な無垢。
それは自分たちの関係によく似ていた。



「飛ぶ。君を連れて。君を誰の目も触れさせない場所へ連れて行く。僕だけのものにするために」



唇が触れるたび、暗い部屋に鈴鳴の音が響く。
切れることも錆びることを知らない、アサシン御用達の宇宙貴金属(スペースレアメタル)の鎖。
たとえ翼があったとしても、これに繋がれている限り逃げ出すことは叶わないというのに。


「こんだけしといて…まだ、足りないってかい?」

「――全然、足りない」


清麗な欲望は止まることを知らず。
その美しさで、人の心を奪っていく。





「…アイシテル」





そのコトバは、甘くない蜂蜜のような 猛毒。















fin




atogaki
 15000HIT記念フリー@ケロロ軍曹・ドロクル小説。
 ドロロ兵長があまりにも純粋な黒になってます本当に(ry
 こんなんでも一応両想いなんです。甘い小説のつもりなんです。
 お持ち帰りは自由ですが、サイト掲載の際にはご一報あれ( ´ω`)ノ

拍手[3回]

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2009/09/26 23:52 | Comments(0) | TrackBack() | ケロロ軍曹

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